ゲインは比、でも絶対値は別問題

ゲインを決めるのは抵抗比ですが、ノイズ・誤差・安定性・消費電流は抵抗の絶対値で変わります。 だから「比が同じ複数の組」から、実害の少ない絶対値を選ぶ必要があります。

帰還抵抗が大きすぎるとき

  • ノイズが増える:抵抗の熱雑音(ジョンソンノイズ)は √R に比例して増える。高抵抗ほどノイズ電圧が大きい。
  • 入力バイアス電流による誤差:バイポーラ入力品はバイアス電流Ibが大きく、Rf×Ib が オフセット電圧として現れる。高抵抗ほど誤差が拡大。
  • 寄生容量で位相が遅れ、発振・ピーキング:高抵抗Rfと、入力容量Cinや基板の寄生容量が極をつくり、 位相余裕を食う。帰還容量Cf(数pF)で補償するのが定石。

帰還抵抗が小さすぎるとき

  • 出力電流・消費電流が増える:出力は「Rf+負荷」を駆動する。抵抗が小さいほど帰還経路に流れる電流が増え、 消費電力・発熱・出力段の負担が増す。
  • 入力(源)を重く負荷する:反転回路のRgが小さすぎると、前段や信号源を重く引っ張り、ひずみ・レベル低下を招く。

実務の落としどころ

  • 汎用用途では帰還抵抗は 数kΩ〜数十kΩ を基本にする。数百Ω以下は出力負荷が重く、 数MΩ以上はノイズ・バイアス電流・寄生容量の問題が出やすい。
  • 高抵抗を使うときは 帰還容量Cf(数pF) で位相補償し、入力容量との極を打ち消す。
  • オフセットが効く回路では、バイポーラ入力品で +入力にバランス抵抗(=Rf∥Rg相当) を入れて バイアス電流の誤差を相殺する。精度重視なら CMOS/FET入力品 を選びIb自体を下げる。
  • 高速オペアンプ・容量負荷では帰還抵抗とCinで発振しやすい。レイアウト(帰還経路を短く)も効く。

まとめ

帰還抵抗は「比でゲイン、絶対値で実害」が要点です。本サイトのオペアンプ ゲイン・帰還抵抗 計算ツールでE系列のペア候補を出したら、 上記の観点で絶対値を選ぶと失敗が減ります。

ゲインは合っているのに出力が発振する・暴れる——そうした場合は、 かいろんのAI診断で発振原因の切り分けに使えます。