アナログ回路の定数決めで、どのツールをいつ使うか
1. 「比」と「絶対値」を分けて決める
アナログ回路の抵抗値は、まず比(分圧比・ゲイン)を決め、次に絶対値を決める、の2段階で考えると迷いにくくなります。比は抵抗分圧 計算やオペアンプ ゲイン・帰還抵抗 計算で、E系列で実現できるペアの候補として出せます。絶対値は、小さすぎると消費電流や前段・出力の負荷が増え、大きすぎると入力バイアス電流による誤差・ノイズ・寄生容量の影響が効いてくる、その兼ね合いで決めます。詳しくはオペアンプの帰還抵抗、大きすぎ・小さすぎの実害で解説しています。
2. 欲しい値がE系列にないとき
計算で出た値がカタログにない場合の選び方は、主に3通りです。
- いちばん近い標準値に丸める(E系列 丸め・早見表)
- 2本の並列で目標値に近づける(並列合成抵抗 計算)
- E24からE96へ系列を上げる
部品点数を増やしたくなければ(1)か(3)、使える部品の系列が限られていて精度も欲しい場合は(2)、という順で検討するのが一般的です。丸めた結果の誤差が回路の要求精度に収まるかを先に決めておくと、必要以上に細かい系列を選ばずに済みます。E24とE96の違いはE24/E96系列とはを参照してください。
3. フィルタはカットオフ周波数だけで決めない
RC/LCフィルタ カットオフ周波数 計算では、カットオフ周波数fcとボード線図を確認できます。実務ではfcに加えて、取り除きたい周波数で何dB落ちるかを線図で確かめ、LCフィルタでは共振によるゲインの持ち上がり(ピーク)が出ていないかも見ます。また、計算は前段・後段のインピーダンスを考えない基本式によるものなので、信号源の出力インピーダンスや後段の入力インピーダンスによって、実機の特性はずれることがあります。
4. 計算どおりに動かないとき
定数が計算どおりでも、実機ではノイズ・発振・オフセットなどが出ることがあります。式に戻る前に、測定のしかた・部品の実力値・寄生成分を順に疑うのが近道です。疑う順番は「計算は合っているのに動かない」ときの切り分け手順で整理しています。