解説記事
計算ツールの背景にある規格の根拠と、実務でつまずきやすいポイントを解説しています。
- パターン幅はなぜ計算値より太く取るのか基板パターン幅の計算ツールでIPC-2221から「必要な幅」を出したあと、その値をそのまま基板に落とし込んでよいのでしょうか。結論から言えば、多くの実務者は計算値そのままでは引きません。なぜ計算値に対してマージン(余裕)を取るのか、その理由を規格の前提と現場の事情の両面から整理します。
- 熱抵抗のディレーティング実務 — データシートのθjaを鵜呑みにしてはいけない理由ジャンクション温度の計算は Tj = Ta + P × θja というシンプルな式です。しかし、このθja(接合部-周囲間の熱抵抗)をデータシートの値そのまま使うと、実機ではTjが計算よりずっと高くなることがあります。なぜθjaは当てにしづらいのか、どうディレーティングすればよいのかを整理します。
- E24/E96系列とは — 抵抗値の一覧・早見表と選び方抵抗値はなぜ 10kΩ の次が 11kΩ で、その次が 12kΩ なのでしょうか。10.5kΩ や 13.7kΩ がカタログにないのはなぜか。これは「E系列」という決め方によるものです。E24・E96の抵抗値一覧(早見表)を確認しながら、系列の成り立ちと、分圧・並列合成で実際にどう値を選ぶかを解説します。
- オペアンプの帰還抵抗、大きすぎ・小さすぎの実害オペアンプのゲインは、反転なら -Rf/Rg(符号反転)、非反転なら 1+Rf/Rg と、抵抗の「比」で決まります。では比さえ合っていれば、Rf=1kΩでも1MΩでも同じでしょうか。答えは「いいえ」です。ゲインが同じでも帰還抵抗の絶対値で回路の挙動は変わります。大きすぎ・小さすぎのそれぞれの実害を整理します。
- 定番のフィルタ計算ツールから乗り換える人向け — 本サイトの使い方フィルタのカットオフ周波数を計算するとき、長年使われてきた定番のフィルタ計算ツールを使ってきた方は多いと思います。本サイトのRC/LCフィルタツールは、同じ計算をHTTPS・スマホ対応・ボード線図つきで行えます。乗り換えにあたって「何が同じで、何が違うのか」を整理します。
- 「計算は合っているのに動かない」ときの切り分け手順 — 机上計算と実機の間で何が起きるか計算ツールで熱もパターン幅も確認し、データシートの定格にも収まる部品を選んだ。それなのに実機を動かすと、部品が想定より熱い、ノイズが乗る、ときどき誤動作する——ハード設計をしていれば必ず出会う状況です。このとき「計算が間違っていたのでは」と式に戻るのは、実は遠回りなことが多いです。机上計算と実機の間で何が起きているのか、典型パターンの分類と、疑う順番の定石を整理します。
- 「105℃2000時間」は何年もつのか — 電解コンデンサ寿命計算の使いどころと落とし穴「105℃ 2000時間」と書かれた電解コンデンサは、実際の機器の中で何年もつのでしょうか。目安を出す道具が10℃2倍則(アレニウス則)で、温度が10℃下がるごとに寿命が2倍になるという経験則です。ただ、この式だけを信じて選定すると、計算では十分もつはずの製品が数年で容量抜けを起こすことがあります。計算が悪いのではなく、式に入れる前提と、式が使える範囲に落とし穴があるためです。ここでは10℃2倍則の使い方と、実務で効いてくる4つの限界を整理します。