θjaは「ある測定基板での値」にすぎない
データシートのθja[℃/W]は、JEDEC規格(JESD51系)で定められた標準テスト基板・規定の銅面積・静止空気中といった特定条件で測定された値です。 あなたの実際の基板は、層数・銅の量・ビア・周囲の部品配置・風の有無がすべて違います。 とくに小さな基板や銅の少ない基板では放熱が悪く、実効的なθjaはデータシートより大きく(悪く)なる方向です。結果、Tj = Ta + P×θja で 出した温度より実機は高くなりがちです。
θjc・θjb・Ψjt を使い分ける
- θjc(接合部-ケース):ヒートシンクを付ける構成で使う。
Tj = Tc + P×θjcのように、 ケース温度Tcから見積もる。ただしTcはケースとヒートシンクの界面の温度で、ここを直接実測するのは難しい。 - θjb(接合部-基板):放熱が主に基板経由(露出パッド品など)のときの指標。
- Ψjt(プサイjt):パッケージ上面の温度の実測からTjを推定するための特性パラメータ。 上面は測定しやすいため、実機での検証は主にΨjtを使う。
放熱経路が「基板+自然空冷」なのか「ヒートシンク+強制空冷」なのかで、参照すべき熱抵抗が変わります。
ディレーティングと熱設計の注意点
実務では次のような点に注意して余裕を確保します。
- Tjは絶対最大定格(例 Tjmax=150℃)に近づけない。信頼性の観点で Tj ≤ おおむね100〜110℃ 程度に 抑える、または Tjmaxの80%以下を目安にする。
- Ta=25℃で計算しない。密閉筐体内の実際の局所周囲温度(他の発熱部品の影響込み)を使う。 社内のディレーティング基準があればそれを優先。
- 露出パッド(QFN/DPAK等)のSMD品は、基板の銅面積とサーマルビアの本数でθjaが大きく変わる。 データシートのθjaは「規定銅面積」前提なので、実装の銅量に合わせて見直す。
- 発熱部品が複数近接する場合、互いに周囲温度を押し上げる。単独素子前提のθjaは楽観的になりやすい。
- パワー品はθjaでなく θjc+θcs(接触)+θsa(ヒートシンク-周囲)の熱回路網で積み上げて評価する。
まとめ
θjaは「目安の目安」です。本サイトの熱抵抗・ジャンクション温度 計算ツールで当たりを付けたうえで、 放熱経路に応じてθjc系を使い分け、実際のTa・銅面積・周囲の発熱を見込んでディレーティングするのが安全です。
計算上は余裕があるのにDCDCやICが熱い——そうした場合は、 かいろんのAI診断で発熱原因の切り分けに使えます。