基板・熱設計で、どのツールをいつ使うか

熱の問題は、部品を選び終えてからではなく、回路と基板の構想段階で当たりを付けておくほど手戻りが減ります。このカテゴリの3つのツールは、設計の流れに沿って次の順で使うと効率的です。

1. 損失の大きい部品のジャンクション温度を見積もる

レギュレータやMOSFETなど損失の大きい部品は、熱抵抗・ジャンクション温度 計算で、損失電力Pと熱抵抗θから Tj = Ta + P × θ を求め、Tj上限までの余裕を確認します。注意したいのは、データシートのθjaが特定の評価基板で測った値だという点です。自社の基板の銅箔面積や筐体内の空気の流れで実際の熱抵抗は変わるため、計算は目安として扱い、試作で温度を測って確かめます(記事:熱抵抗のディレーティング実務)。

2. 大電流が流れるパターンの幅を決める

電源ラインやモータ駆動など電流の大きい配線は、基板パターン幅⇔許容電流 計算でIPC-2221の式から必要な幅を求めます。計算値は「許容温度上昇」を前提にした最小の幅なので、周囲温度・近くの発熱部品・ビアの電流容量などを考えて、実際には余裕を持たせて引くのが一般的です(記事:パターン幅はなぜ計算値より太く取るのか)。

3. 熱い場所の近くにある電解コンデンサの寿命を確かめる

アルミ電解コンデンサの寿命は温度で大きく変わり、10℃2倍則で見積もれます。(1)(2)で分かった「熱い場所」の近くに電解コンデンサを置く場合は、電解コンデンサ 寿命計算に、その場所の温度とリプル電流による自己発熱を入れて、製品に求める寿命に足りるかを確認します(記事:「105℃2000時間」は何年もつのか)。

3つの計算はつながっている

部品の発熱(1)は周りの基板の温度を上げ、パターンの温度上昇(2)やコンデンサの周囲温度(3)の前提にも効きます。どこか1か所の条件を変えたら、ほかの計算も見直すのが安全です。実機の温度が計算と合わないときの考え方は「計算は合っているのに動かない」ときの切り分け手順も参考にしてください。